解剖学は、とにかく覚える量が多い。骨・筋・神経・血管…名前を端から暗記しようとして、テスト前に力尽きた経験はありませんか?
でも、解剖が苦手な人の多くは“頭が悪い”のではなく、やり方が「丸暗記」になっているだけです。解剖は、コツをつかめば安定した得点源にしやすく、しかも卒業後の臨床にも直結します。
この記事では、解剖を“覚えるもの”から“使えるもの”に変える、セジュツノワ式の3原則「描く(触る)・つなげる・思い出す」を紹介します。
原則①:描く・触る ― 解剖は「位置情報」を“体”で覚える
解剖は、名前の羅列ではなく“どこにあるか”という空間情報です。だから、文字で覚えるより絵にする・実際に触るのが圧倒的に効率的。
- まず教科書の図を白紙に描き写す(上手さは不要。位置関係を理解するための“地図づくり”。ここはまだインプット)
- 次に、何も見ずに描けるかを試す。この“何も見ずに”の部分が、記憶を鍛える想起練習として効きます(→科学的に効く勉強法)
🤚 触って覚える(これがかなり効きます)
自分の体や骨格模型を触りながら覚えると、位置関係が一気に立体的に頭に入ります。
– 鎖骨・肩甲骨・上腕骨の出っぱり(ランドマーク)を、自分の体で指でたどる
– 模型があれば、起始から停止まで指でなぞって筋の走行をイメージする
これは触診(触察)の練習そのもの。柔整では「触れて評価する力」が臨床に直結するので、“覚える”と“触れる”を同時に鍛えられて一石二鳥です。
⚠️ やりがちなNG:教科書をマーカーで塗って満足。きれいなノートは作れても、位置は手が覚えていません。「見て分かる」と「(何も見ずに)描ける・触ってわかる」は別物です。
原則②:つなげる ― 丸暗記をやめて“セット”と“理由”で
筋は「4点セット」で覚える
筋は名前だけだと応用が利きにくい分野。起始・停止・作用・支配神経の4点をワンセットで押さえると、いろいろな問われ方に対応できます(これらはまとめて問われやすいポイント)。
例)上腕二頭筋
- 起始:肩甲骨(長頭=関節上結節/短頭=烏口突起)
- 停止:橈骨粗面
- 作用:肘関節の屈曲・前腕の回外
- 支配神経:筋皮神経
「起始と停止を結ぶと、その筋がどう動くか(作用)が見えてくる」――位置から作用を“導ける”ようになると、丸暗記に頼る場面をぐっと減らせます。
🧭 つながりで覚える(解剖↔生理↔臨床)
解剖は単独で覚えるより、他とつなげると一気に定着します。
- 筋 → 支配神経 → 麻痺:その神経が傷つくと、どの動きができなくなる?(→脳神経12対・自律神経とも地続き)
- 骨のランドマーク → 外傷の好発部位:触れる出っぱり(ランドマーク)は、骨折・脱臼の整復や触診の“目印”になる
この「臨床(外傷・整復)とつなげる」視点こそ、柔道整復師の解剖学の醍醐味。“使う解剖”として覚えると、暗記が「意味のある知識」に変わります。
原則③:思い出す ― 眺めずに「出力」する
インプット(読む・見る)だけでは、解剖は定着しません。思い出す(出力)を勉強の中心に。
- 過去問を起点に:まず解いて「何が問われるか」を知り、足りない知識を図で補う(先に解く=“事前テスト”そのものも記憶に効くとされます)
- 白紙に再現:筋・神経の走行を、何も見ずに描き出す
- 間隔をあけて復習:1日後・数日後・1週間後(あくまで目安)と、忘れかけたころに戻す(→科学的に効く勉強法の分散学習・想起練習)
学年別・解剖の進め方
- 1〜2年生:まず全体像と位置関係を「描く」で固める。範囲が広いので、ここで土台を作ると3年が驚くほど楽。
- 3年生:国試の問われ方(起始停止・支配神経・ランドマーク)に寄せて、過去問起点で穴を埋める。
まとめ
- 解剖は丸暗記ではなく 「描く・つなげる・思い出す」 の3原則で
- 描く・触る:位置情報は絵と“触れて”体で覚える(自分の体・骨格模型=触察の練習にも)。塗って満足しない
- つなげる:筋は起始・停止・作用・支配神経の4点セット/臨床(外傷・整復)とつなげる柔整の視点
- 思い出す:過去問起点+白紙再現+間隔復習
解剖は、覚え方を変えれば「重い暗記科目」から「考えれば導ける得点源」へ。今日の1枚、白紙に描くことから始めてみましょう。
参考文献・出典
- 柔道整復師養成課程で用いる解剖学の教科書(筋の起始・停止・支配神経などの事実確認に使用)
- ※本記事の学習法は一般的な学習研究の知見(想起練習・分散学習)に基づきます。詳細と文献は科学的に効く勉強法に記載。
※本記事は柔道整復師国家試験の学習を目的とした一般的な情報提供です。解剖学的事実の最終確認は、在籍校で使用する教科書を最優先にしてください。
監修:セジュツノワ編集部(柔道整復師・柔道整復師専科教員)

