脳神経12対は、「名前」「順番」「働き」「感覚か運動か」…と覚えることが多く、解剖でいちばん心が折れやすいところ。でも、攻略は3ステップで十分です。
- 名前と順番を語呂で
- 3つの分類(感覚/運動/混合)を数字パターンで
- 副交感を持つ4つを“つながり”で
丸暗記ではなく、数字の規則性でラクに整理しましょう。
この記事は国試の完全ガイド(※ピラー記事)の科目別シリーズ(解剖学)です。自律神経の覚え方とセットで読むと、後半の「副交感」が一気に腑に落ちます。
早見表:脳神経12対
| № | 名称 | 分類 | 主な働き | 副交感 |
|---|---|---|---|---|
| Ⅰ | 嗅神経 | 純感覚 | におい | - |
| Ⅱ | 視神経 | 純感覚 | 視覚 | - |
| Ⅲ | 動眼神経 | 純運動(+副交感) | 眼球運動/縮瞳・調節(←副交感) | ●あり |
| Ⅳ | 滑車神経 | 純運動 | 眼球運動(上斜筋) | - |
| Ⅴ | 三叉神経 | 混合 | 顔の感覚・咀嚼 | - |
| Ⅵ | 外転神経 | 純運動 | 眼球運動(外直筋) | - |
| Ⅶ | 顔面神経 | 混合 | 表情筋・味覚(前2/3)・涙/唾液 | ●あり |
| Ⅷ | 内耳神経 | 純感覚 | 聴覚・平衡 | - |
| Ⅸ | 舌咽神経 | 混合 | 味覚(後1/3)・嚥下・耳下腺 | ●あり |
| Ⅹ | 迷走神経 | 混合 | 内臓(胸腹部)・咽喉頭 | ●あり |
| Ⅺ | 副神経 | 純運動 | 胸鎖乳突筋・僧帽筋 | - |
| Ⅻ | 舌下神経 | 純運動 | 舌の運動 | - |
ステップ1:名前と順番を語呂で
順番(Ⅰ→Ⅻ)は、1つの語呂で一気に覚えられます。
「嗅いで視て、動(眼)く(滑)車の三(又)の外(転)、顔(面)やら(内)耳やらに、舌(咽)入れて迷(走)って、副の(舌)下」
カッコ内が脳神経の対応です。
- 嗅いで視て … Ⅰ嗅神経・Ⅱ視神経
- 動(眼)く(滑)車の三(又)の外(転) … Ⅲ動眼・Ⅳ滑車・Ⅴ三叉・Ⅵ外転(目のまわり)
- 顔(面)やら(内)耳やらに … Ⅶ顔面・Ⅷ内耳
- 舌(咽)入れて迷(走)って副の(舌)下 … Ⅸ舌咽・Ⅹ迷走・Ⅺ副神経・Ⅻ舌下
💡 「舌(咽)入れて」のしかけ:「舌」を入れる=舌+in=舌咽(ぜついん/Ⅸ)。語呂のなかに神経名が隠れています。
語呂は“きっかけ”。口に出して数回唱えたら、早見表で答え合わせ(思い出す練習)をするのが、いちばん定着します。
ステップ2:3分類は「数字パターン」で覚える
ここが本記事のキモ。感覚・運動・混合を1つずつ暗記するのは非効率。番号の固まりで覚えます。
用語の確認
– 感覚(性)神経=中枢へ情報を送る求心性線維だけを含む
– 運動(性)神経=中枢から指令を送る遠心性線維だけを含む
– 混合(性)神経=感覚(求心性)と運動(遠心性)の両方の線維を含む神経
※副交感(自律性)線維は“内臓への指令”=遠心性(運動側)に含まれます。だからⅦ・Ⅸ・Ⅹは「感覚+運動(+副交感)」をあわせ持つ混合神経です。
- 純感覚性(感じるだけ)= Ⅰ・Ⅱ・Ⅷ →「1・2・8」(嗅覚・視覚・聴覚平衡)
- 純運動性(動かすだけ)= Ⅲ・Ⅳ・Ⅵ・Ⅺ・Ⅻ →「3・4・6・11・12」
- 混合性(感覚+運動の両方)= Ⅴ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ →「5・7・9・10」
※標準的な解剖学の「純感覚性/純運動性/混合性」に準拠した分類です。動眼Ⅲは“純運動性”に分類されますが、副交感線維(縮瞳を担う)も含みます。「混合性=運動性線維と感覚性線維の両方を含む」が定義で、副交感を持つかどうかは混合の条件ではない点に注意。
ステップ3:副交感を持つ4つは「港区(みなとく)」
副交感神経の線維を含む脳神経は、Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ の4つだけ。これは 「港区(みなとく)」 で一発です。
💡 語呂:港区(み・な・と・く)
み(3)・な(7)・と(10)・く(9) = Ⅲ・Ⅶ・Ⅹ・Ⅸ(副交感を持つ脳神経はこの4つだけ)。
🧭 つながりで覚える(科目横断)
副交感の“出口”は、実は体の両端にあります。
- 頭側:脳神経 Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ(=港区)
- 尾側:仙髄(S2〜S4)。排尿・排便・勃起など、骨盤内の働きに関わる副交感はここから出ます。
この「頭と仙骨から出る」性質を頭仙系(とうせんけい)と呼びます。脳神経の副交感(港区)は、その“頭側”の出口にあたります。
国試で狙われる「引っかけ」
- 内耳神経(Ⅷ)は感覚のみ。「運動も担う」と書かれたら誤り。
- 動眼神経(Ⅲ)は運動神経でありながら副交感線維も含み、その副交感が縮瞳を担う。分類の“例外感”が出題の的(縮瞳=動眼の副交感)。
- 副交感を持たないものを選ばせる問題に注意(Ⅳ・Ⅵなどは持たない)。
- 味覚を伝えるのは顔面(Ⅶ)・舌咽(Ⅸ)・迷走(Ⅹ)(味覚は特殊感覚)。「味覚=舌下神経(Ⅻ)」は誤り(Ⅻは舌の“運動”)。
- 滑車神経(Ⅳ)は脳幹の“背側”から出る唯一の脳神経。細かいが問われることがある一点。
- 副神経(Ⅺ)=胸鎖乳突筋・僧帽筋。柔整では触診・整復肢位とも絡む実践的な神経。
まとめ
- 脳神経は ①名前を語呂 → ②3分類を数字 → ③副交感は「港区」 の順で攻略
- 混合「5・7・9・10」を軸に、感覚(1・2・8)・運動は引き算で出す
- 副交感は「港区(みなとく)=Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ」。混合とは先頭だけ違う
- 副交感は頭仙系(脳神経Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ+仙髄)
数字の規則性さえ掴めば、脳神経は“覚えるもの”から“導けるもの”に変わります。早見表は試験前に何度も見返せるよう保存を。
参考文献・出典
- 『標準解剖学』『標準生理学』(医学書院)など、標準的な教科書における脳神経の機能分類・副交感線維に関する記載
- 脳科学辞典/一般的な解剖学資料の記載と整合
※本記事は柔道整復師国家試験の学習を目的とした、標準的な解剖学・生理学の知見に基づく解説です。最新かつ正確な内容は、在籍校で使用する教科書を最優先で確認してください。
監修:セジュツノワ編集部(柔道整復師・柔道整復師専科教員)

