【生理学】ホルモンの覚え方|内分泌腺ごとの作用を早見表で攻略

ホルモンは種類が多く、「名前・出る場所・作用」がごちゃ混ぜになって、丸暗記地獄に陥りやすい分野です。でも、攻略のコツは2つだけ。

  1. 「腺ごと」に整理する(どこから出るか)
  2. 拮抗する“ペア”で対比する(上げる⇔下げる)

この記事では、柔道整復師国試で頻出のホルモンを早見表でまとめ、間違えやすい「引っかけ」まで一気に整理します。

この記事は国試の完全ガイド(※ピラー記事)の科目別シリーズ(生理学)です。自律神経の覚え方とセットでどうぞ。


目次

まず大前提:ホルモンと内分泌腺

ホルモンは、内分泌腺でつくられ、血液にのって全身の臓器の働きを調整する物質です。まずは「どの腺から、何が出るか」をマップで押さえるのが第一歩です。

主な内分泌腺:視床下部・下垂体(前葉/後葉)・甲状腺・副甲状腺・副腎(皮質/髄質)・膵臓(ランゲルハンス島)・性腺


早見表:腺ごとの主なホルモンと作用

内分泌腺主なホルモン主な作用
視床下部各種放出ホルモン(TRH・CRH・GnRH 等)下垂体前葉を刺激・調節する“最上位の司令塔”
下垂体前葉成長ホルモン(GH)成長促進・血糖上昇
甲状腺刺激ホルモン(TSH)甲状腺を刺激
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)副腎皮質を刺激
性腺刺激ホルモン(LH・FSH)性腺(精巣・卵巣)を刺激
プロラクチン(PRL)乳腺の発育・乳汁産生
下垂体後葉バソプレシン(抗利尿ホルモン/ADH)腎での水の再吸収↑(尿量↓)
オキシトシン子宮収縮・射乳
甲状腺(濾胞上皮細胞)甲状腺ホルモン(T3・T4)代謝を亢進
甲状腺(傍濾胞細胞/C細胞)カルシトニン血中カルシウムを下げる(※「甲状腺ホルモン」には含まれない)
副甲状腺(上皮小体)パラソルモン(PTH)血中カルシウムを上げる
副腎皮質コルチゾール(糖質コルチコイド)血糖上昇・抗炎症
アルドステロン(鉱質コルチコイド)Na再吸収↑・血圧維持
副腎髄質アドレナリン・ノルアドレナリン交感神経様(心拍↑・血糖↑)
膵臓(B/β細胞)インスリン血糖を下げる
膵臓(A/α細胞)グルカゴン血糖を上げる
精巣(間質細胞/ライディッヒ細胞)テストステロン(男性ホルモン)男性化・精子形成の促進
卵巣(卵胞)エストロゲン(卵胞ホルモン)女性化・子宮内膜の増殖。主に妊娠の準備(排卵前に優位)
卵巣(黄体)プロゲステロン(黄体ホルモン)子宮内膜の分泌期化・体温上昇。主に妊娠の成立と維持(排卵後に優位)

国試で狙われる「引っかけポイント」4つ

① 下垂体後葉ホルモンは「視床下部」で作られる

バソプレシンとオキシトシンは後葉から“分泌”されますが、作っているのは視床下部。後葉はいわば「放出する出口」です。「後葉で産生」と書かれていたら誤り、と見抜けます。

② 血中カルシウムは「カルシトニン↓ / パラソルモン↑」

方向が逆なので最頻出の引っかけです。

  • カルシトニン(甲状腺の傍濾胞細胞)=カルシウムを下げる
  • パラソルモン(副甲状腺)=カルシウムを上げる

覚え方の一例:「カルシトニンは(血中Caを)くする=下げる」と語感で結びつける。

なお、カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)から出るホルモンで、代謝を上げる「甲状腺ホルモン(T3・T4)」とは別物。同じ甲状腺でも出どころが違う点が問われます。

③ 血糖を「下げる」のは実質インスリンだけ

血糖を上げるホルモンは複数(グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモンなど)ありますが、下げる主役はインスリン。この「上げる手段は多いのに、下げる主役は1つ」という非対称を意識すると整理しやすくなります。

④ インスリンとグルカゴンの「細胞」を逆にしない

  • インスリン=B細胞(β細胞)・血糖を下げる
  • グルカゴン=A細胞(α細胞)・血糖を上げる

作用も細胞も逆。ペアで対にして覚えるのが安全です。


覚え方のコツ:拮抗ペアと「刺激ホルモン」

  • 拮抗ペアで覚える:カルシトニン⇔パラソルモン、インスリン⇔グルカゴン のように、逆向きのペアで対比すると記憶に残りやすい
  • 「○○刺激ホルモン」は下垂体前葉:TSH・ACTH・LH・FSHなど「刺激ホルモン」は基本的に前葉から。ただし「○○刺激ホルモン放出ホルモン(TRH・CRHなど)」は視床下部なので、語尾の「放出」に注意
  • 性ホルモンは「軸」でつかむ:性腺(精巣・卵巣)は、下垂体前葉のLH・FSH(性腺刺激ホルモン)が司令塔。視床下部→下垂体前葉→性腺、という流れ(性腺軸)で押さえると刺激ホルモンとつながる
  • 女性ホルモンは「排卵」を境に主役が交代:排卵エストロゲンが優位で妊娠の準備(子宮内膜を厚く)。排卵は黄体からプロゲステロンが優位になり、妊娠の成立と維持を担う。「準備のエストロゲン/維持のプロゲステロン」と役割で覚える
  • 眺めるより思い出す:腺名だけ見て「ここから何が出る?」と自分で挙げてから表で確認(→科学的に効く勉強法の想起練習)

🧭 つながりで覚える(科目横断)

  • 副腎髄質のアドレナリン=交感神経の“ホルモン版”。心拍↑・血糖↑など、自律神経の「戦う・逃げるモード」とまったく同じ方向に働きます。自律神経の表とセットで覚えると、両方が一度に整理できます。
  • なぜ「刺激ホルモン」が要るのか:体は「視床下部→下垂体→標的腺」という指令ライン(軸)でホルモン量を調整しています。標的のホルモンが増えると上流が抑えられる(ネガティブフィードバック)――この“自動で量を一定に保つ仕組み”が分かると、刺激ホルモンの存在意味が腑に落ちます。

まとめ

  • ホルモンは「腺ごと」+「拮抗ペア」で整理する
  • 引っかけ4点:後葉ホルモンは視床下部産生/Caはカルシトニン↓・パラソルモン↑/血糖を下げるのはインスリン/インスリン=B細胞・グルカゴン=A細胞
  • 「○○刺激ホルモン」は下垂体前葉(ただし語尾が「○○放出ホルモン」なら視床下部)
  • 表は丸暗記せず、思い出す→答え合わせ→外したところを復習

内分泌は、整理の“型”を持てば一気に得点源になります。早見表は試験前に見返せるよう保存しておきましょう。

続けて自律神経の覚え方もチェック。効率的な復習法は科学的に効く勉強法へ。


参考文献・出典

  • 『標準生理学』(医学書院)など、標準的な生理学・内分泌学の教科書におけるホルモンと内分泌腺の記載
  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「内分泌系の概要」等、一般的な医学情報の記載と整合

※本記事は柔道整復師国家試験の学習を目的とした、標準的な生理学の知見に基づく解説です。最新かつ正確な内容は、在籍校で使用する教科書を最優先で確認してください。

監修:セジュツノワ編集部(柔道整復師・柔道整復師専科教員)

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