ホルモンは種類が多く、「名前・出る場所・作用」がごちゃ混ぜになって、丸暗記地獄に陥りやすい分野です。でも、攻略のコツは2つだけ。
- 「腺ごと」に整理する(どこから出るか)
- 拮抗する“ペア”で対比する(上げる⇔下げる)
この記事では、柔道整復師国試で頻出のホルモンを早見表でまとめ、間違えやすい「引っかけ」まで一気に整理します。
まず大前提:ホルモンと内分泌腺
ホルモンは、内分泌腺でつくられ、血液にのって全身の臓器の働きを調整する物質です。まずは「どの腺から、何が出るか」をマップで押さえるのが第一歩です。
主な内分泌腺:視床下部・下垂体(前葉/後葉)・甲状腺・副甲状腺・副腎(皮質/髄質)・膵臓(ランゲルハンス島)・性腺
早見表:腺ごとの主なホルモンと作用
| 内分泌腺 | 主なホルモン | 主な作用 |
|---|---|---|
| 視床下部 | 各種放出ホルモン(TRH・CRH・GnRH 等) | 下垂体前葉を刺激・調節する“最上位の司令塔” |
| 下垂体前葉 | 成長ホルモン(GH) | 成長促進・血糖上昇 |
| 〃 | 甲状腺刺激ホルモン(TSH) | 甲状腺を刺激 |
| 〃 | 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) | 副腎皮質を刺激 |
| 〃 | 性腺刺激ホルモン(LH・FSH) | 性腺(精巣・卵巣)を刺激 |
| 〃 | プロラクチン(PRL) | 乳腺の発育・乳汁産生 |
| 下垂体後葉 | バソプレシン(抗利尿ホルモン/ADH) | 腎での水の再吸収↑(尿量↓) |
| 〃 | オキシトシン | 子宮収縮・射乳 |
| 甲状腺(濾胞上皮細胞) | 甲状腺ホルモン(T3・T4) | 代謝を亢進 |
| 甲状腺(傍濾胞細胞/C細胞) | カルシトニン | 血中カルシウムを下げる(※「甲状腺ホルモン」には含まれない) |
| 副甲状腺(上皮小体) | パラソルモン(PTH) | 血中カルシウムを上げる |
| 副腎皮質 | コルチゾール(糖質コルチコイド) | 血糖上昇・抗炎症 |
| 〃 | アルドステロン(鉱質コルチコイド) | Na再吸収↑・血圧維持 |
| 副腎髄質 | アドレナリン・ノルアドレナリン | 交感神経様(心拍↑・血糖↑) |
| 膵臓(B/β細胞) | インスリン | 血糖を下げる |
| 膵臓(A/α細胞) | グルカゴン | 血糖を上げる |
| 精巣(間質細胞/ライディッヒ細胞) | テストステロン(男性ホルモン) | 男性化・精子形成の促進 |
| 卵巣(卵胞) | エストロゲン(卵胞ホルモン) | 女性化・子宮内膜の増殖。主に妊娠の準備(排卵前に優位) |
| 卵巣(黄体) | プロゲステロン(黄体ホルモン) | 子宮内膜の分泌期化・体温上昇。主に妊娠の成立と維持(排卵後に優位) |
国試で狙われる「引っかけポイント」4つ
① 下垂体後葉ホルモンは「視床下部」で作られる
バソプレシンとオキシトシンは後葉から“分泌”されますが、作っているのは視床下部。後葉はいわば「放出する出口」です。「後葉で産生」と書かれていたら誤り、と見抜けます。
② 血中カルシウムは「カルシトニン↓ / パラソルモン↑」
方向が逆なので最頻出の引っかけです。
- カルシトニン(甲状腺の傍濾胞細胞)=カルシウムを下げる
- パラソルモン(副甲状腺)=カルシウムを上げる
覚え方の一例:「カルシトニンは(血中Caを)軽くする=下げる」と語感で結びつける。
なお、カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)から出るホルモンで、代謝を上げる「甲状腺ホルモン(T3・T4)」とは別物。同じ甲状腺でも出どころが違う点が問われます。
③ 血糖を「下げる」のは実質インスリンだけ
血糖を上げるホルモンは複数(グルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモンなど)ありますが、下げる主役はインスリン。この「上げる手段は多いのに、下げる主役は1つ」という非対称を意識すると整理しやすくなります。
④ インスリンとグルカゴンの「細胞」を逆にしない
- インスリン=B細胞(β細胞)・血糖を下げる
- グルカゴン=A細胞(α細胞)・血糖を上げる
作用も細胞も逆。ペアで対にして覚えるのが安全です。
覚え方のコツ:拮抗ペアと「刺激ホルモン」
- 拮抗ペアで覚える:カルシトニン⇔パラソルモン、インスリン⇔グルカゴン のように、逆向きのペアで対比すると記憶に残りやすい
- 「○○刺激ホルモン」は下垂体前葉:TSH・ACTH・LH・FSHなど「刺激ホルモン」は基本的に前葉から。ただし「○○刺激ホルモン放出ホルモン(TRH・CRHなど)」は視床下部なので、語尾の「放出」に注意
- 性ホルモンは「軸」でつかむ:性腺(精巣・卵巣)は、下垂体前葉のLH・FSH(性腺刺激ホルモン)が司令塔。視床下部→下垂体前葉→性腺、という流れ(性腺軸)で押さえると刺激ホルモンとつながる
- 女性ホルモンは「排卵」を境に主役が交代:排卵前はエストロゲンが優位で妊娠の準備(子宮内膜を厚く)。排卵後は黄体からプロゲステロンが優位になり、妊娠の成立と維持を担う。「準備のエストロゲン/維持のプロゲステロン」と役割で覚える
- 眺めるより思い出す:腺名だけ見て「ここから何が出る?」と自分で挙げてから表で確認(→科学的に効く勉強法の想起練習)
🧭 つながりで覚える(科目横断)
- 副腎髄質のアドレナリン=交感神経の“ホルモン版”。心拍↑・血糖↑など、自律神経の「戦う・逃げるモード」とまったく同じ方向に働きます。自律神経の表とセットで覚えると、両方が一度に整理できます。
- なぜ「刺激ホルモン」が要るのか:体は「視床下部→下垂体→標的腺」という指令ライン(軸)でホルモン量を調整しています。標的のホルモンが増えると上流が抑えられる(ネガティブフィードバック)――この“自動で量を一定に保つ仕組み”が分かると、刺激ホルモンの存在意味が腑に落ちます。
まとめ
- ホルモンは「腺ごと」+「拮抗ペア」で整理する
- 引っかけ4点:後葉ホルモンは視床下部産生/Caはカルシトニン↓・パラソルモン↑/血糖を下げるのはインスリン/インスリン=B細胞・グルカゴン=A細胞
- 「○○刺激ホルモン」は下垂体前葉(ただし語尾が「○○放出ホルモン」なら視床下部)
- 表は丸暗記せず、思い出す→答え合わせ→外したところを復習
内分泌は、整理の“型”を持てば一気に得点源になります。早見表は試験前に見返せるよう保存しておきましょう。
参考文献・出典
- 『標準生理学』(医学書院)など、標準的な生理学・内分泌学の教科書におけるホルモンと内分泌腺の記載
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「内分泌系の概要」等、一般的な医学情報の記載と整合
※本記事は柔道整復師国家試験の学習を目的とした、標準的な生理学の知見に基づく解説です。最新かつ正確な内容は、在籍校で使用する教科書を最優先で確認してください。
監修:セジュツノワ編集部(柔道整復師・柔道整復師専科教員)

