柔道整復師の就職先の選び方|種類・メリット・デメリットと後悔しない基準

柔道整復師の就職先の選び方

「資格は取れそう。でも、どこで働こう?」——就活が近づくと、多くの柔整学生がここで立ち止まります。

実は、最初の就職先は「その後の職業観や方向性の大半」を決めてしまうほど大事な分岐点です。だからこそ、目先の給与やイメージだけでなく、長期的・客観的・本質的な目線で選んでほしい。この記事では「なりたい自分」から逆算して就職先を選ぶ考え方を、現場を歩いてきた先輩の視点で整理します。

この記事は、柔道整復師国家試験とは?完全ガイド の「合格後の進路」にあたる内容です。


目次

そもそも、柔整師の就職先にはどんな種類がある?

柔道整復師の主な就職先は、大きく次の5つです。

  • 整骨院・接骨院
  • 整形外科などの病院・クリニック
  • デイサービス・介護施設
  • スポーツ関連(チーム・ジム・体操教室 など)
  • 開業(将来)

まず押さえたいのは「柔整師=接(整)骨院だけではない」ということ。選択肢の全体像を持つことが、後悔しない就職の第一歩です。


柔道整復師の主な就職先(5種類)を図解したイラスト

就職先タイプ別のメリット・デメリット

整骨院・接骨院

どんな所か

柔道整復師王道の職場

メリット

  • 柔整師の仕事ができる
  • 将来の「施術管理者」への実務経験を積める

デメリット

拘束時間が長いことがある

向いている人

院長・開業を目指したい人

給与目安 ※額面

18〜30万円

整形外科など病院・クリニック

どんな所か

医師の指導のもとリハビリ業務に携わる。※詳しい仕事内容は整形外科で働く柔道整復師の仕事で解説しています。

メリット

  • リハビリに強くなる
  • 病院とのパイプができる
  • 医学的知識が深まる

デメリット

他職種との関係で役割理解、配慮が要る場面がある

向いている人

  • 医学的知識を極めたい
  • 医師のもとで学びたい人

給与目安 ※額面

22〜28万円

デイサービス・介護施設

どんな所か

機能訓練指導員として高齢者に関わる

メリット

  • 退勤が早め
  • 落ち着いて働ける

デメリット

昇給しづらい傾向

向いている人

  • 安定して働きたい
  • 高齢者に貢献したい人

給与目安 ※額面

20〜25万円

スポーツ関連

どんな所か

メディカル・フィジカル両面から選手を支える

メリット

スポーツ選手に関われる

デメリット

鍼灸師やATなど他資格がないと任されにくいことも

向いている人

スポーツ選手に貢献したい人

給与目安 ※額面

22〜28万円

→ 詳しくは柔道整復師がスポーツトレーナーになるには

開業(将来)

どんな所か

  • 自己実現の舞台
  • 経営者として地域医療に貢献

メリット

救いたい患者に自分の意思で関われる

デメリット

経済的リスクがある

向いている人

自分の力で地域を支えたい人

給与目安 ※額面

15〜100万円

給与目安は「額面」です。生活の計算は“手取り”で考えましょう(額面と手取りの違いは後半で解説します)。

※開業して健康保険を扱うには「施術管理者」の要件を満たす必要があります。

接骨院・整骨院を開業し、療養費(健康保険)を受領委任で取り扱うには、柔道整復師免許に加えて、次の2つが必要です(現場では「管理柔道整復師」とも呼ばれます)。

  • 実務経験:3年以上(令和6年度以降。このうち保険医療機関で従事した期間は2年まで算入可)
  • 研修の受講16時間以上・2日間程度の「施術管理者研修」を修了すること

つまり、卒業してすぐに保険を扱う院を開けるわけではありません。まずは勤務しながら実務経験を積むことになります。

なお、実務経験は受領委任の取扱いをしている施術所での勤務が対象で、研修修了証には有効期間(修了から5年)がある点にも注意してください。要件は見直されることがあるため、最新の内容は必ず公式(厚生労働省・地方厚生局/公益財団法人 柔道整復研修試験財団)でご確認ください。

※正式には「運動器リハビリテーションセラピスト」(研修修了者)で、理学療法士(PT)とは異なる(現場では通称「みなしPT」とも)


「なりたい自分」から逆算する選び方の軸

就職先は「何ができるか」より「誰の、どんな役に立ちたいか」から選ぶとブレません。次の2つの軸で考えてみてください。

軸①:ロールモデルを見つける
「こんな先生・先輩になりたい」と思える人がいる職場かどうか。技術も人柄も、身近な手本がいる環境は伸び方が違います。

軸②:どんな患者に貢献したいか
スポーツ選手か、地域の外傷か、高齢者か。貢献したい相手が決まれば、選ぶべき就職先は自然と絞れます。

要するに:「給与や肩書き」より先に、「なりたい人」と「貢献したい相手」を決める。ここが決まると、後悔しにくい。

柔整師としてどの分野(スポーツ・リハビリ・地域医療・高齢者ケアなど)で働きたいかを思い描いているイメージイラスト

求人票・見学で“ここを見る/必ず聞く”

見学で見るポイント

  • 院長とスタッフの関わり方
  • 施術者と患者さんの関わり方

ここに、その職場の人間関係と本当の空気が出ます。

面接で聞くべき質問

  • 「どうすればこの職場で活躍できますか?」
  • 「キャリアアップの道はありますか?」

聞きにくいけれど、あなたの数年後を左右する本質的な質問です。


学生がやりがちな失敗・誤解(ここで引っかかる)

誤解①:「スポーツ・外傷に特化した職場=かっこいい」

実際は、外傷やトレーナー現場を任されるのは一部の人だけ、というケースが少なくありません。憧れだけで飛び込むと「思っていた仕事と違う」になりがちです。

誤解②:「給料が高い=良い職場」

額面と手取りは違います。さらに休日・福利厚生・人間関係を軽視すると、あとから必ず苦しくなります。

〔重要〕額面と手取りは違う(例:額面25万円の場合)

額面から、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)で約14〜15%、さらに所得税・住民税が引かれます。

ざっくり手取りは額面の8割前後=約20万円が目安。※控除は年齢・扶養・自治体で変わります。求人票の「額面」だけで生活を計算しないこと。


先輩の本音(実際の体験から)

私自身、外傷に特化した整骨院に就職しました。技術ややりがいはありました。ですが休日など福利厚生の面に問題があり、体調を崩して退職することになりました。“やりたいこと”だけで選んだ結果でした。

学生に一番伝えたいこと

やりたいことだけ、あるいは給与や待遇だけで選ぶと、あとからしんどくなります。やりがい・待遇・人間関係のバランスを重視してください。


まとめ:まず「どんな柔整師になりたいか」から

  • 就職先は主に5タイプ。まず全体像を持つ。
  • 給与は「額面」でなく「手取り」で。休日・福利厚生・人間関係も必ず見る。
  • なりたい自分(ロールモデル・貢献したい相手)」から逆算して選ぶ。
  • 迷ったら、見学で“人の関わり方”を見る。それが本当の職場の姿。

最初の一歩を、イメージや条件だけで決めないこと。長い目で見て「なりたい自分」に近づける場所を選べば、そのあとのキャリアはずっと歩きやすくなります。

国家試験の全体像から知りたい方は、まず 柔道整復師国家試験とは?完全ガイド をどうぞ。


監修:セジュツノワ編集部(柔道整復師・柔道整復師専科教員)/担当:安部

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

安部良太郎のアバター 安部良太郎 柔道整復師/柔道整復師専科教員

柔道整復師として臨床現場に従事しながら、養成校の教員として教育活動にも携わる。外傷・スポーツ外傷・運動器疾患を専門に、臨床で培った知識と技術を次世代の医療人育成へ活かしている。柔道整復師18年(院長経験あり)/柔道整復師専科教員 非常勤2年。

目次